フィルムカメラと「エモさ」とLightroom

これは2023年2月の義雄。Adobe Photoshopでレタッチした後、さらにAdobe Lightroomでフィルム風に加工している。そう、Lightroomに手を出してしまったのだ。

きっかけは「カメラが欲しい、レンズが欲しい、あれもこれも欲しい」というブログの「フィルムカメラの今後について」(https://aremo-koremo.hatenablog.com/entry/2023/03/10/190000)というエントリーだった。そこではフィルム価格の高騰を背景に、「業務としてのフィルムカメラ」という項目では「Lightroomのプリセット当てた方が、コストカットもできるし自由自在」と、笑ってしまうほど身も蓋もないことが書かれていた。その結果、私は写真をLightroomでフィルム風にするという麻薬に手を出す決心がついてしまったのだ。

若い世代はフィルムカメラの写真を「エモい」と言うけれど、私はその感覚がわからない。もちろん、なんとなくはわかるのだが。その理由は、1972年生まれの私が、フィルムカメラとともに育った世代だからだろう。

しかし、物心がついたときに存在したのは、手巻きフィルムカメラではなく、自動巻きフィルムカメラ。逆に私は手巻きフィルムカメラに触れたことがない。不便すぎるだろ。

自動巻きフィルムカメラで撮影したら、近所の写真屋でフィルムの現像を頼み、数日待つ……というのは、1980年代から1990年代までの一般的な写真との接し方だったと思う。「写ルンです」が1986年に発売されると、カメラ本体を持たない人も増えたはずだ。あっ、写ルンですが唯一触れたことのある手巻きフィルムカメラか。現像所から戻ってくるのが翌日、というスピードアップも後年のことだと思う。今のように、人々がスマホで大量に写真を撮るような生活とは程遠かった時代の話だ。ただ、写真の共有は当時から盛んで、写真に映っている友人の分も現像して渡すことは、ごく普通のことだった。価格は覚えていないのだが、フィルムも現像も安かったのだろう。

私の住む街には、かつてフジフィルムの店舗ほかに個人経営の写真店があった。その店も、建物が解体されることを受けて、コロナ禍において閉店を迎えた。その場所には今、20階を超えるタワマンが建造されている。まだ造るのかよ……。

こういう懐古はできるのだが、フィルムカメラの面倒臭さを忘れていない世代としては、やはりフィルムカメラが見直されることには、勝手に「エモみ」を上乗せされているような、なんともいえないむずがゆさがある。そもそも、写ルンですがまだ店頭で山積みで売られている光景には、アナログレコードの復権と同じぐらいの驚かされるのだが。

そんなもやもやとした感覚が長らくあったのだが、この度、「長いものには巻かれろ」ということでLightroomを導入した。あくまでフィルムが高騰しているためであり、私は悪くない。俺は悪くないぞ。これでInstagramで人気のカメラマンが売りさばいているプリセットも買って使えるぞ……と思ったのだが、まずは写真を撮る機会を増やしたい。春だし、桜の季節だし。

次回の更新では、前述のブログで知って衝撃を受けた「オールドデジタルカメラ」「オールドデジカメ」というトレンドについて書きたい。なんだそれ。

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