老いへの解像度

2023年5月6日にこの世を去ったとしまるの通夜(彼はプロテスタントだったので前夜式という形だった)が、2023年5月14日に都内の教会で行われた。葬儀の会場には、生前の写真が並べられており、そこには私が知らないとしまるの人生があった。娘さんが生まれ、成長していく。コロナ禍で撮影されたと思われる最近の親子写真もあり、つい食い入るように見てしまった。父親としてのとしまるの姿を。

教会に賛美歌が響く。牧師の説教がご遺族に寄り添う。そして、私たちはご遺族に一礼し、白い花を棺に手向けていく。棺の中で眠るとしまるに再会し、私はしばらく身動きができないような感覚に陥った。まるで死んでいるみたいじゃないか? 突きつけられた現実に、再び混乱してしまう。ほんの一瞬が、長く長く感じられた。

2023年5月20日に代々木A Talk Club WOOFERで開催された「ヤブ医者ごまかせNight Vol.10」は、Tumaさんの1周忌、フランクやとくさんの結婚祝いのために集まるイベントだったが、そこにとしまるの追悼も追加されてしまった。司会進行の私は、ふたりへの献杯の音頭をとった。

コロナ禍も乗り越えて10回目を迎えた「ヤブ医者ごまかせNight」が、だんだんと研究員の生存確認イベントになっている。「ヤブ医者ごまかせNight」にいたTumaさんととしまるが若くして死に、いけっちとぴーちゃんの子供はすくすくと成長している。人の生き死にと冠婚葬祭を詰めこんだイベントになるとは、2017年の始動時は予想すらしていなかった。

写真の通り、イベントは相変わらず馬鹿馬鹿しかった。この日は、むらっちさんが久しぶりに来たということで、ナグリアイにミチバヤシリオが参加して「My Ixxx」をやることになった。そこに響く重心の低いMIXやコールは、現在の現場では聴くことがない部類のものだ。私は内心でひそかに感動していた。そもそも今の現場には、口上なんてないのだ。ケチャで迷わず床に寝転がり、折り重なり、そこにさらに飛び込む無謀なスタイルは、もはや「ヤブ医者ごまかせNight」でしか見ない。研究員のスタイルは、2020年代、どこにも継承されていない。

そしてちょっと意外だったのが、何人もに私の健康を心配されたことだった。無理もない、私はとしまるの一歳下なのだ。次に死ぬのは、Tumaさんやとしまると同世代の私なのではと危惧されても仕方ない。でも、こればかりはわからなくない? ただ、こんな先の見えない不安と並走するのが人生なのだろう――と、だんだん老いへの解像度が高くなってきているのだ。

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