これ以上、どこをどう酔うのだ

2024年5月末、浴衣姿の五味未知子さんが一足早い夏を浅草に運んできた。午後の花やしきにはほどほどに人がいて、大学生と思われる男女のグループも何組か。まだ汗をかくほどではない気温のもと、花やしきに残されている昭和の雰囲気とともに、五味ちゃんと私は写真に夏を偽造していった。

五味ちゃんは、星型の乗物が前に回転するリトルスターや、平面の乗物が前後に激しく揺さぶられるディスク・オーに乗っていて、悲鳴のひとつもあげずによく楽しそうにしているなと思ったのだが、本当は動きが激しすぎて悲鳴が聞こえていなかっただけなのかもしれない。

五味ちゃんがお化け屋敷に入りたがったので、こういうものに強いのかと思ったところ、まったく弱いらしく、叫びながら私の背中を押して先に行くように言いだした。かと思うと、「何も見れてないから」と突然私と並んで歩きだすなど、恐いのか恐くないのかよくわからない。私は、どこかでスタッフが我々を驚かしに来るのだろうと身構えていたのだが、設備と効果音だけで、結局誰も来なかった。お化け屋敷も人手不足の時代なのだろうか。

花やしきを出て浅草寺や仲見世商店街へ行くと、外国人観光客だらけで、日本人が少数派なのではと感じるほど。仲見世商店街を背に立つ五味ちゃんの写真など、遠くから撮った写真もあるにはあるのだが、結局私は五味ちゃんの顔が好きなので、アップの写真ばかりを選んでしまうためにここにはない。SONY α7CIIと五味ちゃんの組み合わせは、OKカットを無限に生産したのだが、私が顔のアップ中心にしてしまう。かくもAIではない人間は面倒だ。

この日、会って1時間と経たずして五味ちゃんはビールを飲みだしたのだが、上野に移動して飲みはじめる頃にはジョッキを手にし、共通の友人が合流する頃には、すでに泥酔した五味ちゃんができあがっていた。五味ちゃんは酔うと、本当にめちゃくちゃな人なのだ。めちゃくちゃな人だ。繰り返し書くほどめちゃくちゃな人なのだ。

夜も更け、五味ちゃんはこんなにベロベロに酔っぱらって大丈夫なのか……と思いつつ店を出ると、知っている店に行くと言って、おぼつかない足取りのまま五味ちゃんは街に消えていってしまった。これ以上、どこをどう酔うのだ、という状態で。しかし、五味ちゃんには酒で曖昧にしておきたい現実もあるのだろうと考えて、現実に直面しっぱなしの私と友人は御徒町駅まで歩いた。

その5月、五味ちゃんは6月以降はSNSの更新を停止すると宣言していて、実際に6月以降はほぼ動きがない。でも、この日のような酔っぱらって楽しそうな五味ちゃんがどこかにいるといいなと考えている。どういう状況でも、酔っているはずだという強い確信だけはあるのだ。