磯丸水産の貝も生きることも手間がかかる

2025年1月半ば、1月20日に迫った五味未知子さんの誕生日用の写真をスタジオで撮り終え、五味ちゃんと私は磯丸水産新宿3丁目店に移動していた。新宿3丁目店は24時間営業。なぜ磯丸水産に行ったのかというと、五味ちゃんが「貝を焼きたい」と言い出したからなのだが、実は五味ちゃんが一度も貝を焼いたことがないと判明したのは焼き始めてから。サザエは店員さんに助けてもらい、なんとか中身を取り出すことができた。難易度が高すぎるだろ。

つい先ほどまで、ウェディングドレスのような白のドレスを着ていた五味ちゃんが、磯丸水産の磁場に吸収されて、じっくりとただの酔っぱらいになっていくのを、下戸の私は固唾を飲んで見守っていた。このときの会話を五味ちゃんは記憶しているのだろうか。その後、五味ちゃんが買い物に行きたいと言うので、店の前まで送ってから別れたのだが、よくあんなに泥酔していて自律的に動けるものだと思う。自動運転タクシーでも見ているかのようだった。

この日の撮影は、本来は10日ほど前に予定されていたものだったが、私の都合で延期されていた。私が二度目のコロナ感染をしたからだった。

ある夜、異様な寒気を感じて、猛威を振るっていたインフルエンザを疑った。その翌朝までの体温は、37度前後を推移する程度。ただ、一度だけ38度台を叩きだしたので、念のため、かかりつけ医の発熱外来に行くことにした。そして、大盛況の発熱外来で、医師からコロナ感染を告げられた。2023年8月以来だ。

「宗像さん、1万円以上する薬があるけど飲みます?」と医師に言われて、「飲みます!」と即答した。とはいえ、処方された塩野義製薬のゾコーバは効くのだろうかと思いつつ帰宅。結論から言うと、飲んで大正解。初日に3錠を飲み、以降の4日間は1錠ずつ、計5日間にわたって飲んでいったのだが、飲んで2日目には平熱に戻り、前回のような味覚障害も出ず、何の後遺症も残らなかった。

というわけで、すぐに回復できたのだが、他人にうつさないように外出しなかった期間は、ずっと「死ぬまで動いていたいなぁ」と考えていた。人に会いたいし、ライヴに行きたいし、取材をしていたいし、とにかく可能な限り動き続けていたい。そういう性分なのだ。ちゃんとマスクを着けていてもコロナになるので面倒だが。

なお、五味ちゃんを撮影した翌日には、2023年12月に受けた内視鏡ポリープ切除術の経過観察の検査を受けたのだが、またポリープが発見されて即切除となった。後日、恐る恐る病理診断の結果を聞きにいくと、良性とのこと。この結果を聞く瞬間だけは緊張する。この文章を書いている今日は、腹部超音波検査を受けてきたところだ。幸い大きな問題はないとのこと。生きるには手間がかかる。

さて、2025年1月20日に五味ちゃんが誕生日を迎えた旨のポストをXにしたとき、私の撮った写真を使ってくれた。夢みたいだ……と思ったのだが、そう言うと、いつもように五味ちゃんに「おおげさ」と笑われるのだろう。しかし、明らかに五味ちゃんに牽引されて撮ることができている写真がいくつもあり、その1枚が五味ちゃんの誕生日に投稿された写真だった。

https://www.instagram.com/munekata