今夜だけは話題を譲るよ

気づいていたのだ。なげきさんは、私を踏み台にして、私の周囲の若い女の子をイベントに呼びたいだけなのではないか……と。

かくして2025年9月10日、新宿ROCK CAFE LOFTで「#オタクのガチ恋について語ろう vol.2~主にコンカフェ編~」が開催された。完売公演だった2025年5月28日の「#オタクのガチ恋について語ろう」からわずか約3か月、鉄は熱いうちに打てと言わんばかりの勢いでなげきさんが開催したのだが、今回はソールドアウトならず。裏でおやすみホログラムのワンマンライヴがあり、研究員の基礎票を集めそこなったからだ。今なら公明党を失った高市早苗の気持ちがわかる。いや、わかりたくないが。

オタクのガチ恋について語るという、そもそも禍々しいイベントなのだが、さらに今回はなげきさんが「コンカフェ」というテーマを設定してきたので、救われる者がいない地獄になる予感がした。そこで新たなゲストとして、「めいどシーシャchocolatplanet」で働いている育実の名を私が挙げたのだった。よく考えたら、そもそも私が悪いんだな。

というわけで、なげきさん、五味未知子、育実、私というメンツがROCK CAFE LOFTに揃った。育実はこの日のために、2025年1月7日に発売された私の著書『BiS研究員 IDOLファンたちの狂騒録』を読んできてくれた。育実はアイドルファンではないし、アイドルになったこともなく、2020年代の「推し活」とも距離がある人物なので、2010年代のアイドル・シーンを煮詰めた『BiS研究員』を読んで感想までくれたことは、本当に嬉しかった。あと、私の周囲人脈がどうかしていることも、今、書いていて気づいた。

なげきさんは約100万円を投じたコンカフェ嬢がいたというが、コンカフェ文化の中では「それだけなの?」と言われかねない。私があえて台風の日に秋葉原ディアステージに行ったことも、ROCK CAFE LOFTに集まったみなさんには「あるある」と受け止められていたが、猛者すぎるだろ。

そんななか、今回のイベントで重要な光景があった。五味ちゃんと育実が「ガチ恋は見ればわかるよねー」というような感じで、顔を見合わせて笑っていた場面があったのだ。このガールズトークのような瞬間は、なげきさんと私では生みだせない。生みだせるわけないだろ。とにかく、出演者側として今回のイベントの価値があったと感じた瞬間だった。

トークイベントは初出演だったという育実が、終了後に「楽しかった」と繰り返してくれたことも嬉しかった。テーマが「オタクのガチ恋」なのに……なんていい子なの……。

イベント撤収後、なげきさんに誘われて、おやすみホログラムがライヴをしていた新宿MARZに足を運んだ。会場から出てくるオタク全員が異常に昂揚している。聞けば、カナミルと八月ちゃんによる「おやすみホログラム THE ORIGIN」が登場したのだという。驚いていると、プロデューサーのオガワコウイチさんも出てきて、この後のプレスリリースを見てほしいと言う。その内容とは、2025年11月12日に新宿LOFTでおやすみホログラム THE ORIGINとおやすみホログラムによるライヴを開催するというものだった。

おやすみホログラムに話題をかっさらわれたのは悔しいが、いい夜だった。新宿LOFTのチケットは、もちろん購入済みだ。

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