ここには板門店もない

2025年10月5日、7日になげきさんの生誕祭がなげきさん自身によって開催され、計98人が訪れたという。オタクの生誕祭としてはかなりの規模だし、これを読んでいる人が「そもそもオタクの生誕祭ってなんなんだよ」と考えていることもよくわかる。

私は2025年10月7日に秋葉原やきとん元気電気街口店で開催された2日目のほうに行ったのだが、会場に入ってすぐのテーブルに、ドドメ色のオーラを放つ集団がいた。研究員である。研究員だけが隔離されており、他のテーブルとの間に鉄のカーテンが引かれているかのようだった。研究員とそれ以外の分断は、まるで1989年11月9日のベルリンの壁崩壊の前夜の東西ベルリン。ここには板門店もない。

なげきさんが紹介してくれればいいのだが、主賓であるはずのなげきさんは受付業務もしており、外の受付に立って、会費の徴収とプレゼントの受け取り、芳名帳への記入依頼をしていた。芳名帳はいらないのではないか。


やきとん元気電気街口店の2階はいつのまにか「おしかつ」という名のもんじゃ焼き屋になっており、推し活が私たちの社会を深く毒していることを感じた。今の推し活は、オタクの生誕祭をするのだろうか。

新たに来た研究員たちは、研究員のテーブルにしか座らない。私がトイレに行っている間に席がなくなり、隣のテーブルでかぁーぷとみんさまと話していたのだが、そのときが一番有益な会話をした気がする。なげきさんについて話していたので、そもそも無益な可能性もあるのだが。

深夜のXに「さびしい」などと投稿しているなげきさんだが、生誕祭ともなれば前述のように100人近い友人が集まってくれるのだ。しかし、かぁーぷとみんさまと話して出た仮説は、「なげきさんは自分の生誕祭に来るような女に興味がないのでは?」「なげきさんは自分に言い寄ってくるような女に興味がないのでは?」というもので、かなり核心に迫っている気がした。が、救いがなさすぎる。

なげきさん生誕祭は胴上げで締めるのが恒例なのだが、今年はオタクの高齢化が進み、みんなで「重い!」と言いながら、なげきさんを高く上げられないまま終了。なげきさんには、来年に向けてChumTotoの現場から力自慢の若者を連れてきてほしい。きゅるりんってしてみての現場からでもいい。

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