熱海のカモメは人を恐れない

熱海のカモメは人を恐れない。2025年11月後半、波が白く砕ける砂浜に、4匹のカモメがいるのが遠くから見え、近づいても彼らはまったく動じる気配がなかった。カモメたちが動きだしたのは、秋の波に打たれてからようやく、という感じ。彼らは波打ち際の砂をついばむ。私は砂浜に足を取られながら、ほうほうのていで歩いた。突堤から水面を見ると、驚くほど透き通っている。昨夜、夜空に星がよく見えたことを思い出した。

熱海は不思議な街だった。浜辺にはリゾートホテル然とした建物が建ち並ぶが、熱海駅から海までは、多くの建物が急斜面に建てられており、かなりの比率で昭和の残り香を感じさせる。浜辺の近くにあった喫茶店・田園には、そこらの平成レトロが逃げ出すような、濃厚な昭和の気配が息づいていた。会計時に聞くと、開店は1959年だという。とっさに66年前だと計算ができなかった。店内には池があり、約2メートルのオブジェふたつの足元では、鯉たちが泳いでいる。照明や椅子も含めて、時が止まったかのような空間だ。

アタミロープウェイで山をのぼり、山頂駅で降りて、あいじょう岬展望台うみそらテラスから見下ろすと、熱海の街はミニチュアのようだ。多くの建物が、まるで揃えたかのように白いからだ。今朝チェックアウトした旅館は、街並みのさらに奥の山中。眺める向きを逆にすると、眼下にはホテルニューアカオも見え、こちらもかなりの崖に建っている。

熱海梅園は、梅のシーズンではないので無料で入ることができた。樹々は燃えるような紅葉に染まっており、滝も川もあるので、無料なのに映えすぎる。

熱海の全盛期は1960〜70年代だという。とはいえ、熱海駅前にはさまざまなホテルや旅館の送迎の人が立ち、駅から延びる商店街にも人が多い。老朽化したホテルの建て替えも進んでいた。アクセスもいい。そして何より、温泉街ながらクマが出ていないのだ。これは今回、熱海に行く大きな決め手になった。遠出するときには、まずクマの出没情報を確認しないといけない2025年、なんとかしてほしい

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