2022年6月、4年ぶりに義雄に会った。この4年ほど、彼女のSNSに動きがあれば私はLINEを送っていたが、それも年に1度あるかないかのことだった。彼女が故郷に帰っていた時期もあり、正直なところ「いつかどこかで死んでしまうのではないか」とばかり考えていた。そんな調子だったので、今回会う約束をしたときも、「会うまでに死んでしまうのではないか」と急に不安になっていた。
ところが、東京に戻っていた義雄はたくましくひとりで生きていた。彼女の前で、歳だけ重ねて惨めに弱り果てている私は、自分が醜く溶けだしてしまいそうな感覚に陥った。
義雄は、まるで口唇期のように、ビールとタバコとiQOSを代わる代わる口にし続けていた。タバコとiQOSはまとめられないのかと思ったが、特に触れなかった。スミノフを一口飲んだだけで真っ直ぐ歩けなくなる私は、彼女がビールを飲み続ける姿を不思議な感覚で見ていた。
義雄はクリープハイプを歌いながら泣きはじめた。泣きながら酒を飲んでいるのか、泣くために酒を飲んでいるのかわからないほど、酒を飲んでは泣き続けていた。
私は4年前に、ごっちんという友人を亡くしてから一度も泣いたことがない。彼の静岡県掛川市での葬儀の日から、私は泣き方を忘れてしまった。他人が泣いている姿を見ると、憧れに近い感覚を抱いてしまう。私もかつては泣くことができたのに。
4年の歳月は、1日会ったぐらいで埋まりようもなかった。ただ、義雄のiPadには大森靖子さんのアルバムがほぼすべて入っていて、私たちは「ノスタルジックJ-pop」という曲を一緒に歌った。4年の歳月を埋めてくれるような錯覚を音楽は与えてくれた。
その動画を後日、大森靖子さんに見てもらったところ、「歌を歌えている」という予想外の評価を受けた。だから少しだけ調子に乗ってInstagramにも載せておく。