81万画素のオールドデジカメでも「エモい」と言えるかい

前回の更新で触れた「オールドデジカメ」という言葉だが、Instagramでハッシュタグを見てみると「投稿5000件以上」と表示される。さぞやガビガビの写真が並んでいるのだろうと思って見てみると……まるでフィルムカメラの写真のようだ。ほとんどの人が100万画素以上のオールドデジカメを使っていると思われるので、「ずいぶんと画質の保険をかけているな」と意地悪く考えてしまった。

私がデジタルカメラを初めて買ったのは1997年。エプソンの「カラリオ CP-500」という機種で、画素数はなんと81万画素。なお、iPhone 14のカメラの画素数は4800万画素だ。

当時の記事を見ると、8万円程度だったらしいカラリオ CP-500は、今その写真を見ると、圧倒的な色味の悪さと、暗所では壊滅的な画質になる点が特徴だ。しかし、フィルムを現像に出さなくても、すぐにパソコンに写真データを取り込めるというのは、1990年代においてたしかに画期的だったのだ。

ここに掲載したのは1998年から2000年までの写真。私の周囲にもデジカメが普及していたことがわかるし、一方で写ルンですも使われている。なお、前述の問題で1枚目の写真が異常に暗かったので、これだけ明るくしている。カラリオ CP-500は、4枚目で当時の私が持っているカメラで、やや大きい。

オールドデジカメでも「エモい」と感じる写真はあるのだが、冷静に考えて、それは単に被写体に「エモさ」があるからだろう。もはや連絡が取れない人が多いので、実例を挙げられないのがもどかしいが、当時の友人たちの刹那的な魅力がある。「今、どしてるんだろうな」と考えてしまう人も多いので、余計そう感じるのだろう。ノスタルジーを超える「エモさ」なんてあるのだろうか。

2001年には私はCanon IXY DIGITAL 300に買い替えており、こちらは211万画素。ここからはそれなりの画質になる。たぶん「#オールドデジカメ」には2000年以降のデジカメが使われていると思うのだが、ここは100万画素以下の世界を体験してほしい。とはいえ、カラリオ CP-500も現在2000円から1万円弱で取引されていて驚いたので、酔狂な人は確実にいるのだ。

「色味の悪い写真」というと、私にとっては携帯電話のカメラで撮った写真、いわゆる「写メ」に継承されていく。写メのデータをどうやってパソコンに移動させていたのか、まったく思い出せないのだが。オールドデジカメの文脈で写メを再評価する人も出てきてほしい。「エモさ」に囚われて、どこまで人がおかしくなるのかを見てみたい。

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