BLAZE前広場のアーリーアダプター

2023年9月1日の昼過ぎ、「ヤブ医者ごまかせNight」の打ち合わせが、その日の夜に行われることが決まった。私は数万字に及ぶ原稿を推敲して編集部に送信し、「この忙しいときに……」と思いながら自宅を出たが、別にバイネームで招集されたわけではない。

お盆のコロナ感染後、しばらく続く免疫を獲得した私は、逆にアクティヴに出歩いていた。最近知ったのは、二郎系のラーメン屋に行くと、即座に体重が増えるということだ。

9月になり、夏の暑さのピークを越えたような気はするが、まだ夜でも30度はある。ただ、午前4時頃になると朝日に追い立てられる日々は終わり、短いであろう秋の予感だけはする。

世界の山ちゃん西武新宿店に到着し、がすぴ〜とフランクと飲んでいる間に、えいそが来たと思ったら去り、ううのがやってきた。2時間制で世界の山ちゃんを追いだされた我々は、いつものようにBLAZE前広場に向かった。私以外は茶割りを飲んでおり、通りがかりの外国人に乾杯を求められていた。BLAZE前広場も国際化の時代だ。

がすぴ〜は、「BLAZE前広場のアーリーアダプターはTumaさんだった」と言う。Tumaさんがあの広場に座って酒を飲みだして、みんなもあそこで酒を飲むようになり、相撲もとるようになったのだ、と。歴史観が大雑把すぎないかと思いつつ、現在のBLAZE前広場の主であるトー横キッズを横目に通りすぎる。トー横キッズの女の子は、大きくて白い熊のぬいぐるみを抱きながら路上で話していた。イメージ通りすぎる。BLAZE前広場の名前の由来である新宿BLAZEも、2024年7月で閉館予定だ。

私は東急歌舞伎町タワーに入ったことがないため連れていってもらったのだが、「AKIRA」のネオ東京のようであり、海外の日本のイメージをそのまま体現したかのような漢字、カタカナ、ひらがなによる電飾類に何とも言えない居心地の悪さを覚えた。露悪趣味というか。歌舞伎町タワーの入り口付近のDJはPSYの「江南スタイル」を流しており、最大公約数的な極東アジアと化していた。

結果的に歌舞伎町タワーの真横に所在することになったROCK CAFE LOFTで働く友人のもとを我々が訪れると、治安が良くなるかと思ったら良くならないし、悪くもならなず、ただ人が増えただけで客は増えないとのこと。歌舞伎町タワーの真横にしてはROCK CAFE LOFTの外壁が質素なので、「ようこそ日本へ」「ロックあり〼」などの日本語電飾を光らせ、ロフトプロジェクトの創設者の平野悠さんの顔の看板も設置し、ついでにビッグモーターの看板も屋上に置いてはどうか、などと無駄話をしていると、すでに23時半。

2023年8月24日の原発処理水の放出開始から1週間。オーバーツーリズムの予感に満ち溢れた歌舞伎町を、私もちょっと観光した気分になりつつ帰路についた。コロナ禍で終電が早くなったので油断も隙もない。

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