いや、その未来はない

桜の本来の色をすっかり忘れてしまった。「Lightroom 桜」で検索した結果、コンピューター上で現実を操作しすぎたせいだ。曇天の日に桜を撮ったので明るくしようとしたところ、インターネット上には桜をこれでもかとピンク色に … 続きを読む

1998年の大江健三郎「政治少年死す」

1998年当時、大江健三郎の「政治少年死す」を読むためには、初出である1961年の「文學界」2月号を探すしかなかった。発表後に右翼団体から脅迫状が送られ、2018年にようやく「大江健三郎全小説3」に初収録されるまでの期間 … 続きを読む

私という触媒

やはり人は、物が見えすぎるとつらいのではないだろうか? ある程度の鈍感さがあったほうが生きやすいのではないだろうか? 15歳のシンガーソングライターである「だでぃが」へのインタビュー原稿を読み返して、人前に出ることもない … 続きを読む

人はそうそう死なないんだよ

2023年1月も下旬にさしかかった頃、正月は実家で静養していた義雄が東京に戻ってきた。2022年の年末には家族が迎えに上京してくるほど弱っていた義雄だが、久しぶりに会うと予想以上に元気になっており、突然別人に会ったような … 続きを読む

軟骨越しのままどおる

2023年1月中旬、8年ぶりにネリに会った。8年!? ネリにそう言われて、そんなに会ってなかったのか……と唖然としたのだが、たしかに前回会ったのがいつなのか思いだせない。いや、たしか2014年3月16日に宮城県女川町で開 … 続きを読む

ミロンガのサザンカ

日曜日の昼過ぎだというのに、神保町の人混みは予想外のものだった。同行していた鳥さんを、2022年12月6日に移転のために閉店したミロンガという喫茶店の前に案内しようとしたところ、向かいのラドリオという喫茶店に長蛇の列がで … 続きを読む

OMOIDE-ZUKURI IN MY HEAD

2002年11月30日のナンバーガールの最初の解散ライヴのチケットを、私の周囲で手にした者は、たったひとりだった。当時まだ20歳過ぎだった、かちゃくちゃくんである。彼は90年代末の高校生時代から「大衆決断」という個人サイ … 続きを読む